著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

見知らぬ病院で母を逝かせたくない…何とか家に連れて帰りたい

公開日: 更新日:

 私たちの診療所で在宅療養をされていた患者さんが、ある時、容体が急変。救急搬送されたことがありました。その娘さんから切羽詰まった口調の電話がかかってきました。

「『何かあったら119番せずに、まずは電話を』と先生に言われていたのに、慌てて救急車を呼んでしまいました。母は意識がなく、病院からは『良くなる見込みがないから』とほかの病院への転院を勧められています。よくわからない病院で母を見送るのは避けたくて、できれば家に連れて帰りたいんですが、どうにかできないでしょうか」

 この娘さんとは、お母さんの最期について綿密に話し合ってきており、その時にも気兼ねなく胸の内を明かしていただいていました。そのため、この電話に対して私たちは戸惑うことなく、「お家に帰りましょう」と言いました。そして、再び自宅で最期を迎える準備を行ったのでした。

 患者さんが寝たきりや意識不明であっても、自宅への移動は民間の救急車を利用するなどして十分に可能です。ただ、寝たきりの患者さんであればいくつか在宅医療サービスがありますが、意識がない患者さんに対してはサービスがおのずと限られてきます。救急搬送された病院の医師もそれを考慮して、自宅へ戻るのではなく転院を、という形で提案したのでしょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    《中日》1位指名した金丸夢斗をパ全球団が“完全スルー”した裏に「カラダの問題」

  2. 2

    松本人志ほぼ無職も海外配信の莫大収益でウハウハ…それでも和解に首を縦に振れない複雑事情

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    《西武》1位で怒涛の遊撃手「指名三連発」は“ポスト源田”の枯渇招いた投手重視ドラフトのツケの証し

  5. 5

    《巨人》先発の金丸夢斗を外して「1~3位に内野手指名」はFA&外国人の大型補強の前兆か

  1. 6

    《阪神》ドラ1指名で“高校生回避”のウラに背に腹は代えられぬ藤川監督の強いこだわり

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    DeNA崖っぷち助っ人が火事場の馬鹿力で巨人相手に6回1安打無失点、クビ回避へ猛アピール

  4. 9

    【スクープ】自民・丸川珠代候補「選挙違反」の決定的証拠!夜8時以降も街頭演説しビラ配り継続

  5. 10

    妻・瀬戸サオリの反論が"トドメ" ジャンポケ斉藤は消滅危機…インスタには4歳の息子の写真がまだ…