足のむくみから重大な病気が見つかるケースはあるのか?
足に痛みがあっても歩けないほどの痛みでなければ、放置する方も多いでしょう。ですが、足の症状から重大な病気が見つかるケースはまれではありません。
以前、当院を訪ねて来られた60代後半の女性もそんな方でした。
「足の違和感を覚えたのは、主人と外食に出かけた後のことでした。帰りの電車で左足の甲に痛みがあり、自宅で靴下を脱いで見てみると、小さな靴擦れができていたのです。絆創膏(ばんそうこう)を貼って様子を見ていたのですが、一向に傷が治らないばかりか足の指先が紫色に変色してきて……」
その後は足の痛みをかばいながらも、なんとか仕事は続けていたとのこと。ところが1カ月後、足先の変色が足首にまで広がり、受診した近所の皮膚科で塗り薬を処方されたといいます。次第に靴擦れでできた傷の痛みが悪化し、当院を受診されたのです。初診時に動脈硬化の有無を調べるABI(足関節上腕血圧比)検査と下肢血管エコー検査を行っても異常はありません。
そこで、膠原(こうげん)病由来の血管炎ではないかと目星をつけて血液検査を行うと、初期の膠原病と判明しました。幸い、膠原病の治療を受けたことで足先の変色は改善し、治りが悪かった足の傷も塞がりました。この方のように、足に不調があっても局所的な症状と捉えられ、正確な診断を受けるのが遅れると命に関わるリスクが高くなるケースもあります。