「捻挫」はなぜ癖になるのか…埼玉県立大などの研究グループが初めて解明
3 足部不安定性群では、前距腓靱帯で、足首の動きに対する神経伝達で重要な役割を担うPIEZO2という物質の発現が低下した
「研究結果が示すのは、足首の捻挫で足部不安定性になると、時間の経過とともに足首の前距腓靱帯のメカノレセプターが変性していき、足首の感覚や運動機能が低下したCAIを発症するということです」(村田准教授)
前述の通り、CAIを改善するリハビリテーションの研究はこれまで多数行われてきたが、有効な方法は見つかっていなかった。それはすでに、靱帯のメカノレセプターの変性が起こってしまい、足首をスムーズに動かせなくなってしまっているからと考えられる。
「つまり、CAIになってから対策を講じるのではなく、重要なのは、足首の捻挫後、足部不安定性をうまく抑制し、CAIを起こさせないこと」
足首の捻挫を起こすと、急性期では冷やして圧迫し、その後、安定するまでサポーターなどで固定する。
「足首のぐらつきと痛みは一致していません。本人は大丈夫だと思っても、医師や理学療法士が見ればまだ固定を外せないというケースは往々にしてあります。軽度でも2週間は足首を固定する必要があります。人によって固定の期間は異なり、医師が画像検査で確認しながら最終判断を行います」
自己判断で固定を外すと、CAIになり捻挫を繰り返す……となりかねない。焦りは禁物だ。