田中幾太郎
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田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

早稲田中学・高校の強み 系列7校で異彩を放つ“一流進学校”

公開日: 更新日:

 有名大の傘下にある系列校は、そのまま大学まで内部進学するパターンが多いが、そうでないケースもある。中高一貫男子校の早稲田中学・高校(東京・新宿区)もそのひとつ。早稲田大キャンパスに隣接する場所に校舎を構えながらも、必ずしもエスカレーター式に大学に上がるとは限らないのだ。

 早稲田大の系列には附属校の早稲田大学高等学院(中・高)、早稲田大学本庄(高)の2校と、系属校の早稲田中学・高校、早稲田実業(小・中・高)、早稲田渋谷シンガポール(高)、早稲田摂陵(中・高)、早稲田佐賀(中・高)の5校がある。附属校と系属校の違いは、その法人格による。附属校は「学校法人早稲田大学」が運営しているのに対し、系属校はそれぞれの法人が運営する格好になっている。早稲田グループの事情にくわしい早稲田大文系教授は次のように話す。

「21世紀になってから早稲田グループに加わったシンガポール、摂陵、佐賀の3校は別にして、首都圏の各校は附属校か系属校かということによって、内実にそれほど大きな差があるわけではありません。たとえば、大学側の早実に対する扱いは附属校とほぼ同等です。ただ、早稲田中学・高校だけは、大学との距離感を保っていて、少し異色の存在とも言えます」

■東大、国公立、医学部の合格者が多い

 首都圏にある4校のうち、高等学院、本庄、早実の3校はほぼ全員が早稲田大に内部進学するのに対し、早稲田高から推薦で早稲田大に進むのは生徒の約半数。残りの半数は普通に大学受験をする。

 ここ5年(2016~20年)の東大合格者数は38人、30人、38人、30人、27人と推移。今年も速報で33人の合格が判明している。この東大を合わせ、国公立大に毎年、約90~100人が合格。また、医学部にも数十人の合格者(20年71人=複数合格を含む延べ人数)を出している。「早稲田中学・高校は進学校としても一流」と話すのは大手学習塾役員だ。

「早稲田大を志望するのなら、早実、高等学院、本庄が有利です。基本的に生徒全員に推薦が与えられる。一方、早稲田高校の早稲田大への推薦枠は生徒数(1学年約300人)の55~56%。にもかかわらず、首都圏4校の中で、早稲田中学がもっとも難易度が高い。つまり、受験者や保護者の多くは早稲田大への進学だけを前提としているのではなく、よりさまざまな可能性を秘めている進学校として、同校を認知しているのです」

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