最後まで冷静と情熱の好ましいバランスを保っていた蓮舫氏。弱者への揺るぎないまなざしが詰まっていた。
2728万円という突出した額の裏金を明らかにしてもなお、党の役職停止1年という大甘処分で済んだ萩生田光一前政調会長は「反省は必要ですが、いつまでも下を向いているわけにはいきません」なんて男前なセリフも厭わない、鋼のメンタルの主。驚くべきことに裏金発覚後も自民都連会長の座にあるが、その都連が小池知事の支援を決めた。そんな自民の姿勢はエグいといえるが、支援者は欲しいが党派色はノーサンキューという「虫のよさ」を隠そうともしない小池知事の振る舞いもなかなかにグロテスク。
告示前日の昨日19日、有力4候補による共同記者会見を生配信で観た。一騎討ちと評されることの多い小池、蓮舫の両氏に、ネットで大人気の石丸伸二・前広島県安芸高田市長、14年の都知事選で61万票を得て4位だった田母神俊雄・元航空幕僚長という顔ぶれ。記者陣からの質問に答えた後は、候補同士による質疑応答。トータル1時間のなかで、都が直面する少子高齢化、朝鮮人追悼、プロジェクションマッピング、神宮外苑再開発、政治資金パーティー、知事給与などの課題について語りあった。
ここで水際立ったキレキレの言語化能力を見せつけたのは石丸氏。なにしろ「私が実現する政策は」という第一問に対してボード紙に自ら書いたのが「政治屋の一掃」だからね。都知事選において41歳という若さは経験不足のひと言で片付けられかねないが、だからこそ使える効果的な言葉を周到に選んできた感じ。会見で株を上げたという点では彼がぶっちぎりでしょう。ただぼくには妙に気になることがあって、それは石丸氏をバックアップする顔ぶれだ。安倍晋三番記者だった元NHKの岩田明子氏を自社の社外取締役に抜擢したドトールコーヒー創業者の鳥羽博道氏とか、〈選挙の神様〉の異名をとる選挙プランナーで東京維新の会事務局長だった藤川晋之助氏とか。まあ会見でそれを問う記者はいなかったが。