呆れた自民の「裏金」調査報告書…反省ゼロ、中身は安倍派幹部への愚痴だらけ

公開日: 更新日:

 一体、何を調べていたのか。自民党は15日、派閥パーティーの裏金事件を受けて実施した党幹部による聞き取り調査の結果を公表した。2週間近くもかけたのに、中身はスカスカ。なぜ、平然と裏金づくりが行われてきたのか、カネを何に使ったのか──、肝心の実態解明からは程遠い内容で、匿名による安倍派議員の発言録は幹部への不平・不満のオンパレードだ。

 ◇  ◇  ◇

 調査の対象は、安倍派と二階派の現職議員や選挙区支部長、各派閥の幹部を含む91人。聴取項目は、2020~22年分の収支報告書の訂正内容や、派閥からのキックバックの存在を認識していたか否か、受領した資金の管理方法などだ。

 全20ページの報告書のうち何より目立つのは、3ページにわたって記された安倍派議員たちの幹部への恨みつらみの言葉である。聞き取りに対し、議員がこぼした愚痴の数々が、匿名ながらくどくどと書き連ねてある。

〈派閥なら派閥らしく、トップが腹を据えるべき〉〈派閥の若手議員よりも重鎮議員の方の危機意識が低かった〉〈派閥の上に立つ人間が責任をとらないといけないと思う〉

 さらに、22年の安倍派パーティーの直前に、会長だった安倍元首相が「キックバック中止」を指示。その後、撤回された経緯を巡っては、こんなボヤキ節も。

〈安倍さんが止めると仰ったのに、その後に復活したのだから、その方針を覆した人がいるのではないか〉〈誰がその決定をしたのかについては、誰も語らない〉

〈派閥から記載するなと言われたものを記載するわけがない〉と、派閥側に責任を押し付ける発言もあった。

 見逃せないのは、安倍派の「不記載スキーム」の開始時期に関する記述だ。具体的な時期は〈判然としない〉としつつも〈遅くとも10数年前から行われていた可能性が高い〉〈場合によっては20年以上前から行われていたこともうかがわれる〉と報告書は指摘。十数年から20年前といえば、森元首相が会長を務めていた時期(1998~2000年、2001~2006年)と重なる。だったら、サッサと追加調査を開始。森本人からみっちり事情を聴いて、シロクロつけるべきだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    早期・希望退職の募集人員は前年の3倍に急増…人材不足というけれど、余剰人員の肩叩きが始まっている

  2. 2

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  3. 3

    大阪万博はやっぱり赤字?1日あたりの入場者は初日を超えられず…開幕1カ月のしょっぱすぎる収支報告

  4. 4

    庶民生活に忍び寄る“円安地獄”の足音…トランプ関税に翻弄され再び「1ドル=150円」も視野に

  5. 5

    急増する大手黒字企業リストラのシビアな背景…2024年「早期・希望退職」1万人超え、前年比3倍に

  1. 6

    迷走続く「マレリ・ホールディングス」再建…金融界の最大の懸念は日産との共倒れ

  2. 7

    値上げラッシュの時代になんと値下げ敢行! BYDの「コスパ逆張り戦略」がハンパない

  3. 8

    5月に入り葉物野菜が激安のワケ…1年前は1玉1000円だったキャベツが200円台前半で店頭に

  4. 9

    大阪万博GW集客伸びず…アテ外れた吉村府知事ゲッソリ?「素晴らしい」と自賛も表情に滲む疲れ

  5. 10

    終わらない「令和の米騒動」…JA全中会長どの口が?「決して価格高いとは思わない」発言大炎上の必然

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  2. 2

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  3. 3

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  4. 4

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  5. 5

    オリオールズ菅野智之 トレードでドジャースorカブス入りに現実味…日本人投手欠く両球団が争奪戦へ

  1. 6

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  2. 7

    乃木坂46では癒やし系…五百城茉央の魅力は、切れ味と温かさ共存していること

  3. 8

    初日から無傷の6連勝!伯桜鵬の実力を底上げした「宮城野部屋閉鎖」の恩恵

  4. 9

    新潟県十日町市の“限界集落”に移住したドイツ人建築デザイナーが起こした奇跡

  5. 10

    トランプ大統領“暗殺”に動き出すのか…米FBI元長官「呼びかけ」の波紋