ラリー大好きだけどズボラもしたい…マイチェンしたGR ヤリス8ATが楽しすぎる!
GR ヤリス(8DAT 車両価格:¥5,330,000/税込み)
人の好みは千差万別。一見いなさそうなところにもお客はいるのかもしれない。ってなわけで、今年マイチェンした「公道を走れるラリーカー」ことGR ヤリスに、ユニークな追加グレードが登場した。GR ヤリス8ATだ。正確には“8DAT”(ダイレクトシフトAT)とも言う。
要は今まで6MTしかなかったモータースポーツ向けモデルに、運転がズボラでラクチンな8AT仕様が追加されたのだ。
知らない人のために説明しとくと、そもそもGR ヤリスとは、一見大衆コンパクトハッチのトヨタ ヤリスに似た、公道を走るレーシングカーだ。
ツリ目の顔はまごうことなきヤリスだし、全体のフォルムも似ている。
だが一般向けヤリスとGR ヤリスはほぼ別モノと言っていい。外板はデザインが似てるだけで5ドアが3ドアになってるし、ボンネットもルーフもドアも形状が違うどころか、軽量高剛性なアルミかカーボン樹脂製になっている。
骨格からエンジンからボディパネルまで別物
フロアはリアにクラス上のカローラのパーツを使い、スポット溶接数を増加させた専用構造の少量生産モノだし、なによりエンジンが全然違う。
排気量たった1.6ℓの3気筒ガソリンターボだが、ほぼレーシングユニットとして汎用の約倍の精度で相当な部分が手組され、マイチェン後のピークパワー&トルクは304ps&400Nmとさらに激速化!
オマケに駆動システムはトヨタオリジナル開発のスポーツ4WDシステムGR-FOURで、大トルクに耐えられるだけでなく、前後トルク配分をモードによって自在に変えられる。
そもそもWRC(世界ラリー選手権)用のホモロゲーション(認証)用モデルで、これをベースに本気のラリーカーを作るわけだから、骨格からエンジンからボディパネルまで別物なのだ。
価格は500万円前後と高いし、買うのはモータースポーツファンばかりなので、一見6MT仕様さえあれば十分。だがトヨタ GRはあえて8AT、それも変速プログラムや変速スピードがツウ向けの8DATと組み合わせたのだ。
本物の手応えが得られる街乗りマシン
正直運転好き向けの8AT、誰が買うのか? と思う。が、乗ってわかった。コイツがかなり楽しく使えるのだ。確かに足周りは硬く、普通の路面でもそれなりに飛び跳ねる。ラフな3気筒エンジンサウンドもうるさめ。
だが、本当のサーキット仕様ほど硬くないから、毎日走っても疲れないし、長距離もそれなりに乗れる。確かにアスリート用スパイクだが、別に鋲が底に売ってある街を走れないタイプではないのだ。
ちょっと底が分厚いマラソンランナー用シューズぐらいのイメージだろうか。リアルラリーカー気分と共に街乗りでもフツーに使える。3ドアだし乗り降りは不便だが、リアに大人2人が乗れるし、ラゲッジもリアを倒せばゴルフバッグも複数積める。スライドドア付き軽のような利便性はもちろんないが、結構使えるのだ。
そうなると……確かに6MT以外も欲しくなってくる。本物の手応えが得られる街乗りマシンとして、ラリードライバー気分でコンビニにポテチを買いに行くにはピッタリなワケだ。
需要はそうそう多くはないだろう。だが、これもモータースポーツに本気で、なおかつ市販車ビジネスでも世界一なトヨタだから成せるワザ。大谷翔平が遊びで作る家庭料理みたいなもの? かもしれませんよ。