阪神・藤川の復活はトミー・ジョン手術のモデルケースになるのでは
今季ここまでのセ・リーグは、早くもマジックがともった広島の独走状態である。よって私の注目は2位以下のCS争いよりも選手それぞれの個人成績に移っているのだが、中でも阪神・藤川球児の際立った好成績がやけに目についてしまう。
ここまで39試合にリリーフ登板して、4勝1敗15H1S、防御率は1.96。チーム内での役割から、投手のタイトル争いにからむことはないものの、その成績は現在ヤクルトのクローザーを務める石山泰稚(47試合3勝1敗6H21S、防御率1.82)と並んでリーグトップクラスと評していい。なにしろ、各チームの主力リリーフの中で防御率1点台を記録しているのは、この石山と藤川だけである。
ご存じ、藤川は今季でプロ20年目、38歳の大ベテラン。いわゆる松坂世代の代表格の一人であり、全盛期は火の玉ストレートと呼ばれた独特のホップする球筋を武器に阪神の絶対的守護神に君臨した。現在まで日米通算226S、名球会まで残り24S。今季は同世代の旗印である松坂大輔が復活ののろしを上げる一方で、打の筆頭格・村田修一が事実上の引退宣言に追い込まれるなど、松坂世代のそれぞれの晩年が注目を集めているが、この藤川はその注目の蚊帳の外(?)で、いつの間にか見事な復活を遂げている。現在の藤川はトミー・ジョン手術も経験したアラフォーの老練でありながら、セを代表するセットアッパーだ。