鉄剤注射はドーピングと同じ 放置してきた日本陸連の大罪

公開日: 更新日:

「対応が甘い」との声もある。

 日本陸連は22日、長距離選手が貧血治療用の鉄剤注射を記録向上のために用いている問題について、今年の全国高校駅伝から血液検査で使用が疑われた場合、指導者にヒアリングを行い、説明を求める考えを示した。ただし、罰則は科さないという。

 陸連は以前から、女子長距離選手が持久力を高めるために鉄剤注射をしている事実を把握していた。2016年には、治療以外の使用には警告も出している。

 くしくも陸連発表と同日(現地21日)には、リオ五輪の女子マラソン銀メダリストのユニス・キルワ(バーレーン)がドーピング違反で国際陸連が不正監視のために設置した独立機関から暫定的な資格停止処分を科された。ケニア出身のキルワは14年に国籍をバーレーンに変え、15年から名古屋ウィメンズで3連覇を達成。日本でもお馴染みの選手。あの成績もクスリのおかげだったのか。

 ケニアといえば、同五輪女子マラソン金のスムゴングも2年前の抜き打ち検査で赤血球の増加効果があるエリスロポエチンに対し陽性反応が出ただけでなく、書類偽造などもあって今年1月、8年間の資格停止処分を受けたばかり。中・長距離王国のケニアもロシア同様、近年はドーピング違反が続出している。

 持久力アップに効果がある鉄剤注射も、禁止薬物を使用するドーピングと同じ。過剰摂取で体内に鉄がたまると、胃痛、下痢、便秘肝機能障害などの副作用もある。多くの選手は指導者の「点数稼ぎ」の犠牲者だが、野放しにしてきた陸連の罪も重い。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「餅」で尿意ストップ! 映画の途中にトイレで席を立ちたくないなら

  2. 2

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  3. 3

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  4. 4

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  5. 5

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  1. 6

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  2. 7

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  3. 8

    広島新井監督がブチギレた阪神藤川監督の“無思慮”…視線合わせて握手も遺恨は消えず

  4. 9

    自民にまた「政治とカネ」問題!太田房江氏に選挙買収疑惑、参院選公認めぐり大阪でグチャグチャ泥仕合

  5. 10

    イケイケ国民民主党に陰り? 埼玉・和光市議補選は玉木代表が応援も公認候補まさかの敗北