野村謙二郎は両親から野球のセンスと俊敏性を受け継いだ
謙二郎が駒大にいたころは、私が当時勤めていた住友金属での仕事や日本代表のコーチ業の合間を縫って、都内でときどき食事をした。いろんな相談にも乗った。ソウル五輪後、11月のドラフト会議前には寮を出て、東京都内で一人暮らしをしていた。食事に困っていないかと思い、西麻布にある焼き肉屋に誘った。肉をつつきながら、ソウルでの思い出話などに花を咲かせた。プロ入りが間近に迫り、希望に満ちあふれていた。同郷の先輩、後輩としての仲は今も続いている。
現役時代の成績は言うまでもないが、引退後も広島大学の大学院で修士号を取得。大リーグのロイヤルズでコーチ研修をし、広島では5年間、監督も務めた。常に高みを目指そうとする姿勢を見るにつけ、立派な後輩を持ったものだと思う。