アテネ五輪準決勝敗退の日本代表救った長嶋監督からのFAX
日本の先発、西武の松坂大輔が初回3者連続三振と完璧な立ち上がりを見せれば、オーストラリア先発のクリス・オクスプリングも走者を出しながらも粘り強く日本打線を抑える。
そんな展開で幕を開けたのが、準決勝のオーストラリア戦です。しかし、気持ちの上で僕らは完全に追い詰められていました。ひとつも負けないという目標が、予選リーグであっけなく吹き飛んだ上に、金メダルしかないという、もうひとつの目標もここで負けたら失ってしまうからです。
一方のオーストラリアは「ここまで来たらやれるとこまでやろう」といったテンションだったに違いありません。悲壮感漂う日本とは異なり、オーストラリアはそもそもベスト4に残れるかどうかというチーム。
メダル取りのプレッシャーと無縁とまでは言いませんけど、日本よりもリラックスした雰囲気だったのは間違いありません。
■「4番なんて打ちたくない」
当時の僕らはひとつも負けられないというプレッシャーから、心身とも疲弊しきっていた。代表チームの正捕手兼4番打者の城島健司も「本当は4番なんて打ちたくないですよ」と苦笑しながら話していました。おそらく本音でしょう。