【競泳】大橋悠依は金メダル、瀬戸大也は予選落ち…男女エースの明暗を分けた指導者の差
メダル量産を期待される競泳日本代表が、大会序盤に男女で明暗が分かれた。
25日の女子400メートル個人メドレーで大橋悠依(25)が4分32秒08で金メダルを獲得。これまで同種目では2000年シドニー大会での田島寧子の銀メダルが最高だったが、美女スイマーが日本勢初の頂点に立った。
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大橋は、国際大会でこの種目を牽引し、「鉄の女」の異名を持つカティンカ・ホッスー(ハンガリー)ら実力者が揃う決勝のレースで堂々の泳ぎを披露。2泳法目の背泳ぎで一気に先頭に立つと、続く平泳ぎで差を広げ、最後の自由形で2、3位に入ったエマ・ウェヤント、ハリ・フリッキンガーの米国の強豪2人を振り切ってゴールした。
競泳では今大会の金メダル第1号となった大橋は「不安もあったが、自分を信じて泳いだ」と涙を見せると、「金メダルを取れるなんて本当に思っていなかった。まだ夢みたいだが、本当にここで泳いでいて楽しくて、それが自分が水泳をやっているすべてだと思う」と喜びを口にした。
2人の置かれた環境の違い
前日24日の男子400メートル個人メドレーでは、大橋以上に下馬評が高かった瀬戸大也(27)が4分10秒52で全体9位に終わり、まさかの予選落ち。世界選手権で3度優勝し、直前の会見で「メダルは99%取れる」と自信を見せていた得意種目で決勝のスタート台にすら立てず、不倫スキャンダルの汚名をそそぐことはできなかった。
競泳男女のエースに天と地ほどの差がついたのは、2人の置かれた環境の違いも一つの要因だろう。
大橋は東洋大入学と同時に平井伯昌現日本代表ヘッドコーチに師事。大学卒業後も引き続き平井コーチの指導を受け、16年リオ五輪男子400メートル個人メドレー金メダルの萩野公介(26)ら多くのトップスイマーとしのぎを削り、レベルアップに努めてきた。
大学時代から股関節や膝など度重なる故障に悩まされながらも食生活の改善や専属トレーナーと契約するなど、体のメンテナンスを怠らなかった。今大会直前まで股関節の不調に苦しんだが、懸命の治療で本番に間に合わせた。何でもネガティブに捉える性格で、レース前は不安ばかりを口にしているが、平井コーチによると、レース前にこれまでこなしてきた練習を思い出して本番に臨むのがルーティンになっているという。
小5から指導を受けてきたコーチと決別していた瀬戸
一方の瀬戸は昨年4月、小5から指導を受けてきた梅原孝之コーチと決別。埼玉栄高の同級生だった浦瑠一朗氏を新たなコーチとして招いた。幼少の頃から共に汗を流した間柄とはいえ、浦氏は指導経験が皆無だった。自国開催の五輪開幕を翌年に控えた時期の指導者変更は、多くの関係者から練習の質やパフォーマンスの低下を懸念する声が相次いだ。
関係者によると、瀬戸が練習をおろそかにし、遊びにうつつを抜かした揚げ句、不倫に走ったのも梅原コーチとの関係が悪化してからだった。同コーチと袂を分かつことになったのは、口やかましい恩師から離れるためとのウワサもある。
「最後の自由形で読み間違えた。自分でも信じられない。もう1回泳ぎたい」と話した瀬戸。指導経験が豊富な梅原氏は決勝レースから逆算しての事細かなペース配分にたけている。予選、準決勝、決勝とステージが上がるごとにタイムもアップする戦略を立てるだけに、今回のような失態は間違っても起きなかったはずだ。