著者のコラム一覧
植月正章元アシックス営業本部長

1938(昭和13)年、鳥取県智頭町生まれ。57年オニツカ㈱入社、77年㈱アシックス推進部長、84年理事、88年取締役販売促進部長、93年常務取締役アスレチック事業本部長、99年専務取締役フットウエア営業本部長。2003年任期満了に伴い退任後、兵庫陸上競技協会会長、神戸市体育協会副会長、兵庫県体育協会副会長、神戸マラソン実行委員会会長、近畿陸上競技協会会長などを歴任。

<7>ロザ・モタは金メダルを獲得した夜に我々の皿洗いをした

公開日: 更新日:

 果たせるかな、モタは翌年のソウル五輪で2時間25分40秒の時計で見事優勝。男子金メダルのジェリンド・ボルディンもイタリアにあるアシックス子会社が契約した選手だった。五輪のマラソンでわが社の契約選手が、うれしいアベックVを果たした。

■「私のわがままのために…」

 その日の夜だ。アシックスのサービスステーション(SS)にモタがひょっこりやってきた。

「すいません、今日のレースで確認したいことがあります。ビデオを見せてくれませんか」

 社員が自炊の夕食を食べ終えたころだった。モタがこれからビデオを見れば2時間半以上はかかる。

「みんな食器はそのままでいいからホテルに帰っていいぞ」

 私の指示で、社員は自分の食器をシンクに入れてSSを出ていった。モタはビデオを見ると、黙々とメモを取りだした。ビデオを途中で止めたり巻き戻すこともあり、自分のゴールシーンまで3時間以上もかかった。

「私のわがままのために迷惑をかけて本当にごめんなさい」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸300億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」