中田翔の移籍初本塁打もなぜ美談に? 巨人にノーと言えないプロ球界の体質を重鎮2人が痛烈批判
「中田 ミスター効果の一発」「あいさつ代わりの2ラン」「コロナ禍を吹き飛ばす本塁打」
スポーツ紙風に言えばこんなところか。
巨人の中田翔(32)が22日のDeNA戦に「5番・一塁」で初のスタメン出場、3点を追う七回に移籍後初本塁打となる2ランを放った。
■寄付行為に長嶋終身名誉監督の激励
巨人入りすると、新型コロナウイルス治療の最前線に立つ医療従事者へ300万円を寄付。この日の試合前には長嶋茂雄終身名誉監督から激励される一幕もあった。中田に一発が飛び出すと、長嶋終身名誉監督はネット裏のガラスをたたいて喜んだ。スポーツマスコミはこれでもかと美談仕立てで大騒ぎしているものの、ちょっと待った、それは違うんじゃないかと言うのは阪神元球団社長の野崎勝義氏。
「トレードして処分がなくなるというのは道義的におかしいでしょう」と、こう続ける。
「日本ハムは中田を再生させるために無期限出場停止処分を解除し、巨人にトレードした。巨人にしても処分を解除された選手だから試合で使った。ルール上は何ら、問題ありません。けれども日本ハムは、中田が同僚に暴力をふるう行為が野球協約に抵触するからこそ、出場停止という厳しい処分を科したわけじゃないですか。なのに、それから10日もしないうちに試合に出るのは、どう考えてもおかしい。トレードを成立させるためとはいえ、処分を解除した日本ハムも日本ハムだし、すぐに実戦で使う巨人も巨人ですよ。トレードしたとしても、それなりのことをした中田はしばらくの間、実戦で使うべきではない。でなければ、日本ハムがわざわざ処分を科した意味がなくなってしまいます」
■何のための処分なのかわからない
オリックス元球団代表の井箟重慶氏も、「これでは日本ハムが何のために出場停止という厳しい処分をしたのか分からなくなってしまう」と、こう言った。
「ルール上は問題がないのかもしれませんが、だからといってルールを逸脱しなければ何をやっても構わないということにはならないでしょう。本当に中田を再生したいというなら、本人が過ちを償う期間を設けるべき。それをせずに巨人が契約するなり中田を実戦で使ったのは、単に戦力を補強して勝ちたい、優勝したいからだと受け取られても仕方がない。寄付行為しかり、長嶋さんの激励しかり、どうも中田の移籍を執拗に美談仕立てにしているとしか思えないのです」