著者のコラム一覧
岡崎朋美長野五輪メダリスト

1971年、北海道清里町出身。94年リレハンメルから98年長野、2002年ソルトレークシティー、06年トリノ、10年バンクーバーと日本女子最多の冬季五輪5大会出場。長野で日本女子短距離選手初のメダル(銅)を獲得した。07年に結婚、10年12月に女児を出産。14年ソチ五輪代表入りを逃し、現役引退。20年マスターズ国際スプリントゲームズで世界新記録を更新して金メダル獲得。現在は全国各地で講演会を行う。聖徳大学客員教授。日本学生陸上競技連合理事

<18>「高木美帆は5種目メダルの確率高い」岡崎朋美さんが北京五輪スピードスケートを展望

公開日: 更新日:

 北京五輪でメダルラッシュが期待されているスピードスケート。中でも注目されているのが、5種目最大7レースに出場する高木美帆選手(27)です。

【写真】この記事の関連写真を見る(09枚)

 個人4種目に加え、パシュート(団体追い抜き)の計5種目に出場。500メートルを含めた5種目に出場するのは、1992年アルベールビル五輪での橋本聖子さん(現東京五輪大会組織委員会会長)以来です。

 日本人で前代未聞となる「5種目メダル」の確率は高いと思います。カギは最初の種目となる5日の3000メートルで波に乗れるかどうか。

 一方で美帆選手の一番の目的は1500メートルの金メダル。2018年平昌五輪でオランダのブスト選手に0.2秒差で金メダルに届かなかった。この4年間、その0.2秒の差を確実に埋めるべく、周回の後半まで体力を持たせる技術を習得。フィジカル面の強化、特に持久力アップのため、自転車やワットバイクで乳酸値を上げて効率の良い筋力をつくり上げていました。筋力アップでスケーティング技術が上がり、難しいことにもすぐに対応できるようになります。

小平奈緒には「ケガの功名」の利点があるかも

 小平奈緒選手(35)は平昌で金メダル獲得の目標は達成済み。北京では家族やファンへの恩返しを胸に連覇を狙うでしょう。ただ、ここ数年はケガの影響で苦悩の日々を送った。昨季痛めた左股関節の詳しい状態は分かりませんが、「ケガの功名」という利点も。

 私の場合、2000年に椎間板ヘルニアを患いましたが、それを機に無駄な力を出さなくても速いスケーティング技術を学べたことで、2年後のソルトレークシティーでは効率の良い滑りができました(500メートルで当時の日本記録を更新)。

 小平選手も35歳ならではの知恵や技術を持っている。心の迷いなくスタートラインに立てれば連覇も狙えます。ぜひ、フライングギリギリのスタートダッシュを。小平選手の生きざまを見せてほしいと思います。

 ディフェンディングチャンピオンの女子チームパシュートは追いかけられる立場。日本は前回と同じメンバーで臨む一方、オランダは勢いのある若手の起用が目立つ。勝利のポイントは周回のラップと交代時のスピードの流れを極力変えないこと。今回は交代の回数を減らしているらしいので、それが好成績につながればいいと思います。

 男子の注目は500メートルと1000メートルに出場する新浜立也選手(25)。ダイナミックなスケーティングが魅力で、その力強さをゴールまでキープしてほしい。ポイントとなるカーブの入り口を上手に攻め、遠心力を気持ち良く感じることができれば、好タイムが狙えるでしょう。

 同じく500メートルと1000メートルに出場する森重航選手(21)は若さで勢いがある。怖いもの知らずでチャレンジ精神が強い半面、転倒やアクシデントの可能性もある。攻撃的な気持ちと冷静なレース展開を。ライバルとなるのはカナダのローラン・デュブルイユ(29)、平昌で500メートル銅メダルを獲得した中国の高亭宇(24)。彼らを意識しすぎず、自分のペースで全力を出しきってほしい。

 全選手の後悔のない滑りと心からの笑顔を期待しています。

(長野五輪・銅メダリスト)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • その他のアクセスランキング

  1. 1

    体操界は飲酒喫煙「常態化」の衝撃…かつてスポンサー企業もブチギレていた!

  2. 2

    オリンピアンの大甘同情論に透ける「特権意識」…血税注ぎ込まれているだけに厳罰必至の当然

  3. 3

    「重圧は言い訳にならない」とバッサリ、体操界レジェンド池谷幸雄氏が語る「エース不在」の影響

  4. 4

    宮田笙子の喫煙を以前から把握か?体操協会に向けられる疑惑の目…“過去にも厳重注意”の証言

  5. 5

    パリ五輪辞退の宮田笙子は再起できるのか…境遇が重ねられるバトミントン桃田賢斗はその後

  1. 6

    “卓球の女王”石川佳純をどう育てたのか…父親の公久さん「怒ったことは一度もありません」

  2. 7

    自己保身に一辺倒の日本体操協会の対応に、パワハラや体罰を生み出す日本スポーツ界の土壌を見た

  3. 8

    石川佳純がパリ五輪キャスター“独り勝ち”の裏で福原愛が姿消す…マイナスイメージすっかり定着

  4. 9

    バドミントン桃田賢斗が代表引退宣言 大人気を誇る東南アジアで「引っ張りだこアンバサダー」になる未来

  5. 10

    体操・杉原愛子が開発 性被害対策と実用性を兼ねた「新型ユニホーム」で業界に新風吹き込む

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    (34)「一生に一度、1億円稼ぐには?」と渥美清さんに聞いたら「バカだね」と説教された会員限定記事

  2. 2

    夏の京都に異変! 訪日客でオーバーツーリズムのはずが…高級ホテルが低調なワケ

  3. 3

    原英莉花は米ツアー最終予選会に臨めるか…イケメンキャディーとの破局がプレーに影響も

  4. 4

    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

  5. 5

    石丸伸二さんについて、あたしの頭の整理がついたので、述べさせてもらう。

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  2. 7

    宮田笙子の喫煙を以前から把握か?体操協会に向けられる疑惑の目…“過去にも厳重注意”の証言

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    不倫報道の福原愛 緩さとモテぶりは現役時から評判だった

  5. 10

    嵐"25周年ライブ"めぐる日テレvsTBSの攻防…二宮和也「うん…やるんじゃない」がキッカケに