連載最終回に思うこと 阪神には「中途半端な8年間」に終止符を打ってほしい
この連載が開始された2015年春、阪神監督は4年目を迎えた和田豊で、開幕投手は前年に最多勝を獲得したメッセンジャーだった。当時の阪神はこのメッセンジャーと能見篤史が左右の二枚エースという状況で、野手では鳥谷敬もマートンもまだまだ健在だった。
この年の阪神は借金1の3位に終わった。それによって和田監督が解任されたが、3年目の藤浪晋太郎が自己最多の14勝を挙げて最多奪三振の初タイトルを獲得するなど、秋には明るい話題もあった。しかも、次年度の新監督には00年代の阪神の最大の功労者である金本知憲が就任し、「超変革」のスローガンのもと、おおいに盛り上がったのを覚えている。
あれから現在に至るまで、まさか一度も優勝していないなんて当時の私が知ったらどんな顔をするだろう。あのころ、藤浪は今ごろ虎の大エースになっている、もしくはとっくにMLBに移籍して大谷翔平と肩を並べる存在になっていると思っていた。
金本監督による打撃強化策が奏功し、掛布雅之以来となる本格的な生え抜き日本人の4番打者が出現すると期待していた。エースと4番が理想的なかたちで共存し、阪神に新しい時代が到来すると信じていた。