パリ五輪のマラソン代表選考レース 曖昧なMGCから令和のドラマは生まれるのか
大迫に関し、瀬古利彦リーダーは会見で「賞金があるから(MGCに)出るでしょう」と話したようだ。賞金に関しては、大迫が無償だった前回のレース後に口にしていたことだが、これまで賞金を伏せてきた陸連はいつ方針を変えたのだろう。プロ化に踏み切ったなら話は別で、プロの出場条件は賞金という“棚の上のボタ餅”ではなく出場料。だとすれば、その原資はどこからくるのか。過去、ベルリンマラソンはフジテレビが放映した。MGCの中継はTBSとNHK……水面下でしのぎを削っているのだろうか。
■昭和のマラソンは終わった
早大の花田勝彦監督は学生がマラソンを目指しやすくなったとMGCを評価する。中大の藤原正和監督は「昔のマラソン、今のマラソン」と明確に使い分けている。厚底シューズで記録の比較は意味がなく、昭和のマラソンは終わったというのだ。
日本のマラソンはまさに昭和の難局に走り出しバブルの花となって人気を博した。
寺沢徹、円谷幸吉、君原健二、宗兄弟、瀬古利彦、中山竹通、谷口浩美……昭和人はこれらの名前に顔を浮かべることが出来る。何の道具もない彼らは真のプロフェッショナルで、魂の走りが沿道を熱くした。90年代の東京国際マラソンで有力選手が腹痛を起こし、コースを外れてトイレに駆け込んだことがある。テレビ解説の宗茂は、しばらくしてから、アナウンサーに言った。