サッカー女子W杯のNHK中継決定を巡るドタバタ劇 後藤健生氏が問題提起「結果オーライで終わらせてはいけない」
JFA田嶋会長の他人事コメント
──田嶋会長は「W杯の放映権はFIFAとテレビ局が交渉して決めてきたこと。協会は管轄外だが、放映する放送局が決まっていないことに懸念を抱いている。ぜひ解決していただきたい」とコメントしました。
確かにその通りなのですが、まるで他人事のようなコメントには歯がゆさを覚えました。そもそもJFAは、今回の問題について早い時期から状況を知りうる立場にあったと思われます。田嶋会長は日本の各テレビ局に対して自ら働き掛けを行ったり、必要とあれば資金協力を申し出たり、FIFAに日本の女子サッカーの現状を説明して、「地上波で放送することで女子サッカーを盛り上げたい。放映権を下げていただきたい」と説得することもできたはずです。
──11年のドイツW杯で優勝して12年が経過しました。日本の女子サッカーは、順調にレベルアップしていますか?
たとえばWEリーグのトップ3ですが、浦和レッズレディースはスピードとパワー重視のダイナミックなサッカーを展開し、日テレ・東京ベレーザは細かいテクニックとパスワークを前面に押し出し、INAC神戸レオネッサは守って鋭いカウンターを繰り出すなど各チームが、それぞれのカラーを出しながらレベルの高いサッカーをやっています。2部に相当するなでしこ1部リーグも、2日に組織的なサッカーが身上のスフィーダ世田谷と大型FW片山由菜を擁する横浜シーガルズ戦を駒沢で観戦しましたが、なかなか見応えのある試合でした。
右肩上がりで発展している女子サッカーのためにも今回、NHKに決まったことを歓迎したいと思います。ただし、結果オーライで終わらせてはいけません。なぜ開幕直前まで決まらなかったのか? 男子も女子も今後、放映権が高騰していくことでサッカー界はどう変わっていくのか、きちんと検証する必要があります。