「環境再興史」石弘之著
1960~70年代にかけて、日本各地で大気や水、土壌が汚染され、騒音や悪臭に脅かされ、公害病が蔓延。野生動物も姿を消し、世界最悪の汚染とまでいわれた。こうした時代をくぐりぬけ、現在は世界のお手本といわれるまでに環境を取り戻している。
乱獲と生息地の破壊で一時は絶滅したといわれていたタンチョウヅルは、1800羽を超えるまでに回復。泡だらけだった多摩川には年間1000万匹以上のアユが遡上し、深刻な大気汚染都市だった川崎市は「もっとも住みたい町」にランクインするなどの事実が、その劇的な回復ぶりを表している。
本書では、普段はニュースなどで取り上げられることが少ないそんな日本の環境の再生への軌跡と、携わった人々の尽力を紹介する。
(KADOKAWA 900円+税)