小さん、談志と深くつながっていたのは落語家としての財産
花緑のことを気にかけていた談志のことだ。さぞかし喜んだと思う。
「『おお、来たのか』って笑顔を見せてくれました。『この前、おまえをテレビで見た。何か理屈を言っていた』って言われました。うれしかったです。中入り後に師弟の対談コーナーがあって、ご両人が舞台に上がると、突然師匠に、『孫が来てたな。出てこい』と言われて、舞台袖にいた僕は私服のまま上がりました。生志さんが、『何か師匠に聞きたいことはありますか』と振ってくれたのですが、何を聞いていいかとすぐに思い浮かばなかった。とっさに出た言葉が、『師匠、長生きしてください』でした。そうしたら、客席からワーッという歓声と拍手が起こって。きっとお客さまも師匠にそう言いたかったんでしょうね」
談志の弟子のファンは、弟子と同じように談志を敬愛する。花緑が客の気持ちを代弁したわけだ。
「小さん、談志という2人のレジェンドと深いところでつながっていたのは、落語家として財産だと思ってます。ただ、小さんは僕が談志師匠からこれほど影響を受けるとは思ってもみなかったでしょうけど(笑い)」(つづく)