骨粗鬆症の椎体骨折が楽に治る「経皮的後弯矯正術」
骨粗鬆症になると、併発しやすいのが背骨がつぶれて骨折する「椎体骨折」だ。患者の大半が高齢者だけに、体への負担が少ない治療が重要になる。最近、広まりつつあるのが、2011年に保険適用になった「経皮的後弯矯正術」だ。
椎体骨折は、「こんにちは」とおじぎをしたり、後ろの物を取ろうと振り向いたり、物を持ち上げたりといった、ごく普通に行う日常的な動作が引き金になることが珍しくない。米国では45秒に1件の割合で、椎体骨折が起こっているという。
症状は体を動かす時に生じる背中や腰の痛み。重症化すると、激痛で動けなくなる。骨がつぶれた状態で固まってしまい、背筋が前傾姿勢になり、転倒や逆流性食道炎などのリスクも高まる。
「治療はまず、コルセットで腰を固定し、痛み止めの薬などを服用する保存療法です。しかし、数週間経っても改善が見られず、むしろ悪化する患者さんがいます。保存療法を長くすることで認知症や体の機能の低下が著しく進む可能性のある患者さんもいます。そもそも認知症が強ければ保存療法が難しいことも。そういう場合、検討されるのが外科的治療の経皮的後弯矯正術(バルーンカイフォプラスティー)です」(苑田第三病院東京脊椎脊髄病センター・星野雅洋センター長)