仕事と治療は両立可能 「がん」で会社を辞めてはいけない
がんと診断されても、決して会社を辞めてはいけない――。こう言うのは、「健康増進クリニック」の水上治院長だ。欧米からの医療情報を基に、西洋医療に高濃度ビタミンC点滴療法などの補完医療を加え、がん患者に対する心身両面からのサポートに力を入れている。
水上院長が問題視しているのは、「がんハラ」だ。
「がんを宣告され、将来が見えないような時に『がん治療と仕事は両立できないだろう』と言われ、追い詰められたような気持ちになって辞めてしまう患者さんがたくさんいるのです」
職場でのがんハラとともに、医師からのがんハラもある。
家電メーカーで部長職に就いていたAさん(50代)は、首のしこりから精密検査を受けたところ、胃がんが発覚。さらに首、わきの下、リンパ節に転移していた。ステージⅣで手術が不可能な末期がんという診断で、抗がん剤治療を受けることになった。
医師からは「抗がん剤治療は副作用がつらい。仕事を続けながらの治療は困難」と言われ、職場でも「治療に専念したほうがいい。仕事なんて、いつでも再開できるのだから」と言われた。結局、Aさんは辞表を出した。