夏こそ要注意…腎臓は「運動で元気になる」の落とし穴
「CKDの患者さんは原疾患として糖尿病や高血圧などを抱えています。運動でこれらの原疾患が改善することで、腎機能も回復するのです。ですから、ウオーキングであれ、水泳であれ、CKDのステージに応じた運動をすることが大切なのです」
CKD患者に有効な運動とされるのが「有酸素運動」と「筋トレ」だ。CKDの重症度分類は5段階に分かれ、3までは積極的に運動し、4や5であっても尿毒素などの影響が出ていなければ運動は続けるべきだとされている。
問題は、最近、筋肉量の低下により全身が衰えるサルコぺニアのリスクや、筋肉が分泌するホルモン(マイオカイン)が「心臓病」「がん」「うつ」などの予防に役立つと話題になっていること。ならば、少しでも筋肉量を増やそうと、無理して肉などのタンパク質を取る中高年が増えているのだ。
「先に述べたように、自分では気がついていないだけで、腎機能が損なわれている人は少なくありません。肉などのタンパク質を大量に取って筋肉を維持しようという中高年は、血液中の老廃物の一種である血清クレアチニン値や尿タンパクなどを調べた方がいい。また、CKDの人は熱中症には特に注意が必要です。夏は大量の汗をかくため、水と共に控えめにしている塩分も多めに取ることが大切です」
健康情報は流行に振り回されずに、自分に必要なものだけキャッチし、それでいて臨機応変に。これが健康に過ごすためのコツだ。