大丈夫にみえた患者さんが「おかしい」と連絡が入った
患者さんにとっては厳しい内容でしたので、Yさんの表情を見ながらゆっくりと話したつもりでした。
「何か質問はありますか?」
「いえ、大丈夫です」
「明日の午後にまた来ます。その時、またどうぞ、遠慮なく質問して下さい。一緒に頑張っていきましょう」
「よろしくお願いします」
そのような会話を交わし、その日は1時間ほどの説明で終わりました。Yさんはアナウンサー時代の野球実況の話をされたりして、私は度胸の据わった、しっかりした方だという印象を受けたことを覚えています。
翌朝、病棟の看護師さんから「Yさんがおかしい」と電話がかかってきました。Yさんは、朝早くから自宅へ電話して「家の換気扇が汚れているから拭きなさい」「トイレが汚い。すぐ掃除をしなさい」と、奥さんに指示しているというのです。
私が病室に行くと、Yさんの表情は昨日とはまったく違い、とても硬くなっていました。