減っていくはずの女性ホルモンを補う治療に害はないの?
“プレ更年期”は、あくまでも一時的。本来分泌されるべき女性ホルモンがストレスでストップしたのなら、薬で補うのは理にかなっている。
しかし、本番の更年期は、人体の仕組みとして女性ホルモンの分泌がストップに向かう流れだ。その治療にも、女性ホルモンの補充が選択肢のひとつになっている。「なくなるはずのものを補って害はないのか」といった素朴な疑問が浮かぶが、問題はないのか。聖路加国際病院内科名誉医長の西崎統氏がこう言う。
「ホルモン補充療法は、一般に5年が限度。その範囲内で用いるなら、問題はありません」
子宮がある人には、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモンをそれぞれ補う。エストロゲン単独だと、子宮体がんのリスクが高まるが、両方補充すれば、リスクはゼロに減らせる。いろいろな病気で子宮を摘出した人は、エストロゲンのみの投与が選択されるという。
ただし、子宮がんや乳がんの人は、ホルモン補充でがんが悪化するためタブー。ほかにも持病によって、補充できなかったり、慎重投与になったりするケースもある。その場合は、漢方薬や精神安定剤などで対応するという。