<4>ボケてテレビ三昧 筋力低下で浴槽から出られなくなった
ボケたのをいいことに、父のプライベートをさらけ出して銭に換える鬼畜の所業。それが私のなりわいである。父が嫌いなワケではない。むしろ好きだ。尊敬もしてきた。でも介護はしない。「ドクターX」の米倉涼子ではないが「一切いたしません」。介護はプロに任せるほうが父も快適だと考えている。
そこに立ちはだかったのは、母の「昔気質の面倒見のよさ」だ。父の粗相は増え、日常生活でできることがどんどんなくなっていく。自力でやらせればいいことも、母が先回りしてやってしまうのだ。
皿くらい下げさせればいいのに、母がさっさと片付ける。尿で濡れたズボンは手取り足取り着替えさせ、靴下までもはかせてやる。
昭和初期の女はこれだから厄介。いや、諸悪の根源は昭和初期男だな。モーレツに働く代わりに、上げ膳据え膳で生きてきた甘えん坊将軍め。メシフロネル族の男は要注意だ。
ソファにだらしなく腰掛け、日がなテレビを見るだけの父。ろくに運動もせず、3食&おやつに昼寝つき。父の腹部は「不思議の国のアリス」に出てくるハンプティー・ダンプティーのように膨れ上がり、体重は85キロを超えた。手足は細くなり、棒のように萎え、しかもむくみ始めている。