<5>歯学部が実証 歌うことで嚥下率が高まりストレスも軽減
この研究を行った斎藤一郎教授が言う。
「老化は口からといわれておりますが、口の周りにある筋肉が、高齢に伴って低下し、嚥下機能を弱らせてしまいます。それを長期間のカラオケで、口周囲の筋力が補強され、さらに唾液の分泌も促し、ゴックンというのみ込む機能を高めるのでしょう」
同大では他に「歌の長期効果を検証するテスト」として、被験者13人(年齢50~60歳が中心)に、「誤嚥性」検証のときと同じテスト(カラオケを週に4回、8週間継続)をした。
まず「免疫力測定(免疫担当細胞であるリンパ球系の細胞がどれほど増加するか)」では、明らかに増加した。
また「歌唱によるストレスマーカーの変動」では、「コルチゾール」(副腎皮質から分泌されるホルモン。過度なストレスを受けると分泌量が増加する)が、開始前の6.500gμ/デシリットルから、開始8週間後に6・000gμ/デシリットルまで減少している。
同じく「アドレナリン」(副腎髄質から分泌されるホルモン。過度なストレスを感じ続けると血中のアドレナリンが増える)も開始前の0.0400gμ/ミリリットルから、開始8週間後には0.0300gμ/ミリリットルに減少した。
「これらカラオケの効果は、ストレス社会にどう対応するかという目的で検証したもの。カラオケ? 私も時々、マイクを握ることがあります」(斎藤教授)