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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

原因不明だった白血病 治療法が進歩して治癒も期待できる

公開日: 更新日:

 患者の姉であるCさんにその病気を説明したところ、「私も検査して欲しい」と希望され、すぐに採血をしました。その結果、HTLV―1抗体は陽性でしたが、ATLは発病していませんでした。

 それから数年後、驚いたことにCさんは頚部のリンパ節が腫れ、ある病院で「悪性リンパ腫」との診断を受け、私のところに紹介されてきました。ATLがリンパ腫のタイプで発病したのです。Cさんは頑張って闘病されましたが、治療の効果はなかなか得られず残念な結果となりました。

■ウイルスに感染しても95%以上は発症しない

 ATLという病気は、HTLV―1への感染が原因であることが分かっています。このウイルスの感染経路は、主に母親から子供への母乳を介する母子感染で、空気感染はしません。ほかに輸血や性交などによる感染があります。最近は、妊婦健診でHTLV―1抗体検査が行われるようになり、陽性者(キャリアー)の授乳制限などで子供への感染を予防できるようになりました。

 ATLを発病していないキャリアーは、人口の流動化によって九州・西南沿岸地方だけでなく、関西、首都圏など全国に広がっています。最近は母子感染予防対策などによって、新たにキャリアーとなる方は減少していますが、それでも全国で約100万人と推定されています。

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