糖尿病の専門医が警鐘「健康にいいから食べる」の落とし穴
不飽和脂肪酸であるDHA、EPAは認知症予防に役立つとさまざまな研究で証明されているものの、薬と同程度の効果を得ようと思ったら、かなりの量を食べなくてはならず、食べ過ぎにつながります。だからといってサプリメントで取ればいいというものでもないでしょう。
DHA、EPAをたくさん取ると認知症が少ない――といった研究結果は、魚を日常的に取っている人を長期間にわたって調べたもの。食べるもので一朝一夕の効果を求めるのは間違っています。
せっかく「食」を変えようと思ったなら、①長く続けられる方法で②健康効果がいいという根拠があるものを。小魚をおやつ代わりに取り入れるのはお勧めしませんが、魚がメインの和定食を日常的に取り入れるのは大賛成です。ただし、塩分は控えめに。
どういう食べ方をするか。毎日続き、それがほぼ生きている間続くのですから、体に与える影響は大きいです。突然ヨーグルトを食べ始めても、目に見えて健康にはならないように、普段から規則正しい、バランスのとれた食生活を続けている人が、たまたま同僚に誘われてラーメンを深夜に食べたからといって、高血圧になったり肥満になったりしないでしょう。問題なのは、「深夜にラーメン」「寝る前のスナック」が日常化してしまうことです。
そしてもっと問題なのは、この連載で何度もお話ししていますが、“若気の至り”と思っていた間違った食習慣が、その後きちんと正しても、「負の遺産」として人生に悪影響を及ぼし続けることです。