糖尿病の「基準値以下」でも心筋梗塞や脳卒中を起こす人は
今月、高血圧のガイドラインが5年ぶりに改定されます。
すでに日本高血圧学会が発表している内容によると、140/90(収縮期血圧/拡張期血圧=単位は㎜Hg)といった基準値は変わらないままですが、治療の目標値は引き下げられ、75歳未満は130/80、75歳以上は140/90となりました。75歳以上はこれまで150/90が目標値だったので、75歳未満も75歳以上も、従来の数値より10ポイント下がったことになります。塩分を多く摂取する日本人にはとても重要な改定です。
では、糖尿病についても、今後ガイドラインで数値が厳しくなることはあるのか?
私はそれはないと考えてます。今の数値が絶対に正しいものだからという理由ではありません。
数値を厳しくしても、それが国民の意識を「食生活を改善しよう」といったプラスの方向に向けられるとは必ずしも思えないからです。
糖尿病の基準値が厳しくなれば、かなりの人が糖尿病と診断され、かえって糖尿病に対する認識が甘くなる可能性があります。実際、40代以上の男性はメタボ健診をすると7割の人が引っかかるのですが、それゆえにハードルが低くなってしまい、「メタボって言われたけど、大したことがない」と間違った知識を持っている人が多い。読者の皆さんもそうではありませんか? そうして、メタボに至った同じ生活を今後も続け、やがては糖尿病をはじめとする生活習慣病で治療が必要になったり、最悪の場合は、心筋梗塞、脳卒中を起こしてしまうのです。