がん治療をするか否かは「暦の年齢」で決めるものではない
そこまで聞いたSさんから「がんがゆっくりしたものならそのままでもいいですか?」と尋ねられたので、さらにお答えしました。
「治療を選択しなかった場合に気になるのは、がんが次第に大きくなった時にだんだん食事が取れなくなったり、出血して緊急手術もあり得ることです。これなら、早く手術しておけばよかったと思うこともあるかもしれません。もちろん、がんの治療は本人にどのような持病があるかでも変わってきます。肺、心臓、腎臓、肝臓などの機能は大丈夫か、糖尿病はないか……。年齢を重ねると持病がある方も多いのですが、これも一人一人違うわけです。平均余命が何歳だから、がんの治療をどうするかを考えることは、がんの種類で大きく変わってくるのです」
その後、三浦雄一郎さんの話題になりました。80歳でエベレスト登頂に成功し、86歳での登山では途中で引き返しましたが、鍛え直して90歳の時にまた挑戦するといいます。
80歳からの平均余命が8年といっても、寿命が尽きるのに8年ということかもしれませんが、その人に当てはまるかどうかは分かりません。100歳まで、つまりあと20年、生きる方もいらっしゃるのです。