「放射線治療」の最前線 今や正常組織にダメージを与えず
■キーワードは「IMRT」と「定位照射」
放射線治療は、高精度の機器の登場で、正常組織にダメージを与えず、がんに強力に放射線を照射できるようになった。高精度放射線治療には、「強度変調放射線治療(IMRT)」と「定位放射線治療(以下、定位照射)」がある。
「IMRTは、放射線強度に濃淡をつけられます。たとえば頭頚部がんに放射線を照射する時、脊髄と唾液腺は守りたい。IMRTならそれが可能です。一方、定位放射線は多方面からがん一点に放射線を高い精度で集中させる治療法です」
IMRTは体中のあらゆる臓器に適用可能。一方、定位照射は肺がんや肝臓がんに用いられるが、今は「動体追尾照射」という方法もあり、大きな役割を果たしている。
「肺や肝臓のがんは、呼吸でがんの位置が大きく移動することがあり、移動量を含めた広い範囲に照射せざるを得ませんでした。しかし、動体追尾照射でがんを追いかけ照射できる。照射範囲を狭くでき、不要なところに放射線を当てない」