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小堀鷗一郎医師

1938年、東京生まれ。東大医学部卒。東大医学部付属病院第1外科を経て国立国際医療センターに勤務し、同病院長を最後に65歳で定年退職。埼玉県新座市の堀ノ内病院で訪問診療に携わるようになる。母方の祖父は森鴎外。著書に「死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者」(みすず書房)。

在宅医療のキーワードは「神父とうんこ」そう話す意味とは

公開日: 更新日:

■自治体を相手に戦うことも

 知り合いの“神父”を呼び、死期が迫った患者を祝福してもらったこともあった。

「ケアマネジャーの資格も持っている元神父で、『先生、よくこんな仕事をしていて鬱にならないですね』と驚いていました。こっちは毎日のように想定外の事態に直面するのですから、鬱になんかなっていられない」

 自治体を相手に戦うこともあった。80代後半で2人暮らしの高齢夫婦が、夫の認知症を理由に引き離されたのだ。

「ちゃんと生活ができていたのに、自治体の担当者が『何かあったら困る』と勝手に夫を施設に入れちゃったのです。妻からすれば、ある日突然、夫がデイサービスから帰ってこないのですから、必死に捜し回ります。交番で相談もしたけど、警察には“お触れ”が回っているから詳細を教えてくれない。息子2人も知らぬふり。それで日弁連に人権救済の申し立てをしたりしたのですが、結局、元に戻すことはできませんでした」

 医者と神父を兼ねても、力が及ばないことは多い。

(取材・文=稲川美穂子)

【連載】死なせる医療 訪問診療医が立ち会った人生の最期

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