著者のコラム一覧
尾上泰彦「プライベートケアクリニック東京」院長

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

近年注目される「髄膜炎菌性尿道炎」症状は淋病にそっくり

公開日: 更新日:

 しかし、感染しても多くの場合は一時的に鼻やのどの奥に定着して保菌者になったり、そのまま消失したり、発症することはまれです。

 それが体力が低下しているときや免疫疾患がある場合に、気道を介して血中に入り敗血症を起こしたり、髄液まで侵入して髄膜炎を起こしたりするのです。他にも「肺炎」「関節炎」「骨髄炎」などの原因にもなります。

 そして、近年では発症数は少ないですが「髄膜炎菌性尿道炎」が注目されています。経路は、健康な保菌者ののどに定着している髄膜炎菌がオーラルセックスによって尿道に感染すると考えられています。

 髄膜炎菌性尿道炎は「排尿初期痛」、尿道口から出る「クリーム状の膿(うみ)」が典型的な症状です。しかし、この症状は淋菌性尿道炎(淋病)とそっくりで区別がつきません。尿道炎の原因は「淋菌」と「クラミジア」が7割を占めます。ですから、通常の尿検査(核酸増幅法)をやっても陰性になります。培養検査をやって初めて髄膜炎菌が原因であることが分かるのです。

 症状は抗生物質で治ります。しかし、問題は感染源であるパートナーの治療です。保険診療では髄膜炎菌の健常保菌者への抗生物質の処方はできないからです。この場合、自由診療の性感染症専門施設で治療してもらうのがいいでしょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」