脳<上>個人個人の努力次第で認知症の患者数は35%減らせる
「この解析研究では、リスク要因を持つ人が、持たない人に比べて、どれだけ認知症になりやすいかの『相対リスク』と、各リスク要因を排除できた場合に、全体の認知症患者がどの程度減るのかの『人口寄与割合』を推計しています。このリスク要因をすべて避けることができれば、認知症患者を最大で35%減らせる可能性があります」
現在の日本では15歳までが義務教育なので、多くの人は「低学歴」は排除できているはずだ。しかし、脳の神経細胞も体の筋肉と同じで使っていないと衰えてしまう性質がある。年を取っても頭を使う「知的活動」を続けているといい。興味のあることを勉強するにしても、単に何かを記憶するだけではなく、物事を深く考える頭の使い方が大切になるという。日記を書くことも勧められるが、その際にはパソコンやスマホを使って書くのではなく、日記帳にペンを使って書くことがポイントになる。
中年期では生活習慣病に注意。特に「高血圧」の相対リスクは1・6倍だが、研究によっては3倍に高まるとされている。
「血圧が高ければ食事の塩分を減らしたり、運動で血圧を下げたりする必要がありますが、難しい場合は薬でコントロールすれば認知症のリスクは抑えられます。降圧剤にはいくつか種類がありますが、中でも『ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)』が最も認知症のリスクを下げるという調査結果が出ています。薬が必要なら、ARBを含めた薬の組み合わせで処方してもらうといいでしょう」