正常値で心臓病がない人も薬で血圧を下げると健康メリットあり
着目すべき点は、「年齢にかかわらず120㎜Hg未満まで下げた方がリスクが低い」という点です。つまり、高齢者でも低い方がいいという結果だったのです。
それによって、米国は18年、高血圧の基準値を130/80㎜Hg未満まで引き下げました。SPRINT研究では「120㎜Hg未満まで下げた方がよい」という結果だったのですが、それより高い「130㎜Hg未満」としたのは、SPRINT研究は、白衣の医師や看護師らを見て緊張から血圧が上がる「白衣高血圧」が起こらない状況での試験だったから。実際の診察の現場では白衣高血圧が起こる可能性を考慮して、130㎜Hg未満となりました。
■心筋梗塞、狭心症の初発・再発を防ぐ
一方、日本でも19年に高血圧の治療ガイドラインが改定されました。米国と違い、基準値を一気に下げると混乱を招くとの理由から、高血圧の基準値はそのままで、目標値が引き下げられました。
75歳未満は診察室血圧で130/80㎜Hg未満を、75歳以上で140/90㎜Hg未満を目指すとしたのです。この目標値は目安であり、個々の状態から医師が判断し、最終的に決定する形になります。