ベートーベンの難聴の原因 昔は先天梅毒説が有力だったが…
そして40歳になる頃にはほとんど音は聞こえなくなったのではないか、と言われています。44歳のとき、メトロノームの発明者が考案した補聴器を使うようになったそうです。ピアノのフレームに当てた棒を口にくわえ、振動を体で感じることまで試みていたといいます。その状態でも創作意欲は衰えることなく、それ以降も作曲を続けたそうですから凄い人です。
そんなベートーベンは51歳のとき「黄疸」にかかります。それ以降、激しい腹痛、嘔吐、吐血に悩まされるようになり、1827年3月26日に亡くなります。翌日行われた解剖記録によると、肝硬変に加え、通常の3倍にまで膨らんだ脾腫、胆のう炎、膵炎が確認され、頭蓋骨は正常の2倍ほどの厚さで、聴神経がそれにより圧迫されて萎縮がみられたそうです。
そのことから、難聴は副甲状腺機能亢進症を合併した骨パジェット症と痛風、さらにはこれらの苦痛から逃れるためのアルコールなどによるものという説もあります。骨パジェット症とは骨の新陳代謝の異常により、骨が変形したり、もろくなったりする病気です。骨の変形に伴う痛みや頭痛、噛み合わせの問題、聴力障害、脊柱管狭窄症などを引き起こします。