ルネサンス期の“3大巨匠”ラファエロの悲恋と瀉血療法
ラファエロは37歳の誕生日に亡くなります。通説では死因は梅毒です。女性関係が派手だったのでそう考えられたのかもしれません。しかし、昨年発表されたタリアの研究では「新型コロナに似た肺炎症状で亡くなったのではないか」と報告しています。ある芸術家の評伝に「彼は寒い中、夜な夜な外出しては恋人の元を訪れていたが、そのことを医師らに黙っていた」と書かれていたことからです。
しかも、末期の梅毒ならその症状が表れているはずですが、彼に関するさまざまな記述にはそれがなかったといいます。 いずれにせよラファエロは高熱で倒れ、ローマ教皇の指示で著名な医師が診て「瀉血療法」が行われたそうです。瀉血療法とは体内にたまった不要物や有害物を血液とともに外部に排出させることで、健康を回復できるという考えによる治療法です。
実際は何のエビデンスもないのですが、中世ヨーロッパから近代まで、かなり長い間行われていました。当然、出血死する人も多く、アメリカ初代大統領のジョージ・ワシントンは、大統領を辞任から2年後、雪の降る中馬を走らせた結果、風邪をひいてしまい、何度も瀉血を行った末に亡くなっています。ラファエロも直接の死因は「出血死」ということになるのかもしれません。