糖尿病網膜症(1)日本の糖尿病患者の15%が患う目の病気
この段階からは、網膜の外観が変化する可能性があり、眼底検査で検出されるようになる。
「糖尿病網膜症には進行の度合いによって呼び方が変わります。網膜に出血や斑点などが生じる『非増殖糖尿病網膜症』と網膜に新しい血管や増殖膜ができる『増殖糖尿病網膜症』です。治療していない中等度の非増殖型では、網膜に黄斑浮腫などができ、視力低下を起こす可能性があります」
さらに進行すると、貧血になった網膜は血管増殖因子を分泌して新しく弱い血管を生成する。
「これらの新しい血管は、網膜の内面に沿って成長するだけでなく、目の中心を満たすゼリー状の硝子体内にも伸展します。新生血管はもろいので、血液成分が漏れて出血する可能性が高く、やがて瘢痕組織を生成し、それが収縮して網膜剥離も起こします」
こうなると治療は難しくなり、場合によっては失明する。糖尿病が指摘されている人は自覚症状がなくても年に1回は包括的な目の検査を受けることが重要だ。