がんとの共生に「抗がん剤」は必ずしも必要ない 在宅医療の名医が語る「薬」と「延命」

公開日: 更新日:

「現場でがん末期の患者を見てきた立場から言えば、患者の背景や苦しみを見ずに画像や血液データだけを見る『治療優先』のドクターの強引な抗がん剤の継続により、『殺されてしまった』患者も少なくありません。また、悪意はないのですが患者の『治療継続』という強い希望に逆らいきれず、抗がん剤がプラスにならないと分かりながらもやめる選択肢を患者に説明しきれないドクターもたくさんいます」

■薬をやめて2週間後には体重5キロ増

 その後、山中医師は伊東さんに改めて「がんの終末期」であることを伝え、食事も満足に取れず、体重減少が著しい中での抗がん剤の継続は、苦しさが続くだけでなく、残された命がさらに短くなってしまう、と説明した。

「伊東さんは『でも病院の先生は抗がん剤続けてもいいって言ってるから』とおっしゃるので、本人を前にして、抗がん剤を続ける担当医師に電話をしました。担当医は、『本当は抗がん剤をやめたかったんですが、伊東さんの思いに逆らえなくて……』とお話しになりました。伊東さんは涙を流しながらその場で抗がん剤をやめる決断をしたのです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

  2. 2
    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  3. 3
    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

  4. 4
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  5. 5
    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

  1. 6
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 7
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  3. 8
    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

  4. 9
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  5. 10
    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」

    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」