相性が合う医師を求め…精神科医は5回代えても代えすぎではない
「欧米ではすでに80年代に、『憂鬱さを訴えないうつ病も実は半分』『うつ状態の原因が病気かストレス性かという精神科医の診断一致率は、信頼性を欠く』といった議論に決着がついています。しかし日本では、こんなガラパゴス医師がいまだに多いのです」
結局、母親は効果のない漢方薬と精神安定剤を中止して抗うつ薬を服用。数日後には症状は消えていった。
■思い込みから効かない薬を漫然と処方する医師も
「誰がどう見てもうつ病という病態であればガラパゴス医師でも対応できます。しかし現実には、医師の『うつ病じゃない』という思い込みから、長期にわたって効果のない漢方薬や安定剤が漫然と続けられ、人生の貴重な時間を失い、中には退職に追い込まれる患者も少なくない。薬が全てなどというつもりはありませんが、有効な他の手も打たずに飼い殺しにするくらいなら、抗うつ薬を含む積極的な薬物療法を試してほしいのです」
以前、精神科の学会は治療指針に沿った薬物療法を専門医に呼びかけていた。この“治療指針に沿った”は一見もっともらしく聞こえるが、治療指針は海外では非専門医や若手のためのもの。