認知症の排泄トラブルを予防する具体的な方法は?
認知症の方を介護する家族の困りごとに多いのが排泄トラブルです。認知機能の低下によって尿意や便意を感じる脳のセンサーの働きが鈍感になり、尿意を感じたときには間に合わず、失禁を招くのです。認知症が進行していても「トイレの失敗は恥ずかしいこと」といった羞恥心は失われないので、汚した下着を棚に隠したり時にはトイレに流して詰まらせたという話を家族からよく耳にします。
トイレの失敗が続くと対応する家族の負担が増えるのはもちろん、本人も自信を失い、失禁の不安から逆に尿意が過敏になるケースも少なくないのです。
排泄トラブルを防ぐには、時間誘導が有効です。私たちの体には抗利尿ホルモンと呼ばれる利尿を妨げるホルモンがあり、分泌量は明け方に多く午後~夕方に最も少ない。つまり、尿量は夕方に最も多くなるのです。午前中は2時間おきの誘導で構いませんが、尿量が増える15~18時の間は1時間おきにトイレに行くよう促すといいでしょう。
外出時は急なトイレに備え、事前に目的地までの道中にあるトイレの場所を調べておくと安心です。長時間の移動で難しい場合には、ショーツ型の「リハビリパンツ」の着用が有効です。尿取りパッドと紙おむつの中間で、薄型なので着用時の不快感が少なく下着感覚で着用できると好評です。