認知症予防プログラム…歌いながら左手と右手でそれぞれ別の動きをする
ある日の「健脳カフェ」の一場面です。
「左手はイチ、ニ、サンで三角形を描いてくださいね。小さくてもいいですよ。そして右手はイチ、ニ、イチ、ニと(上下に)動かしてくださいね。どちらか一方ずつだとできちゃうんですけど、両方一緒にやるとどうかな。ゲームだと思ってやってみましょう!」
日本音楽健康協会の音楽健康指導士の方がにこやかに話しかけると、椅子に座った参加者の方が「できるかしらぁ」「難しいわぁ」と笑いながら、両手を動かし始めます。日本音楽健康協会とは、「うたと音楽」を活用し、高齢者の健康づくりなどに取り組む一般社団法人。音楽健康指導士は、同協会の資格になります。
「では、歌に合わせてやりましょう!」
唱歌「故郷」の「うさぎ追いし、かの山~、小ブナ釣りし、かの川~」の音楽が流れ出し、みなさん、一緒に歌を口ずさみながら、左手では「イチ、ニ、サン」の三角形、右手では「イチ、ニ」と指揮棒を振るような動きをします。
これ、実際にやってみると、とても難しいんです。左手の動きに集中すると、右手の動きが「あれれ……」となる。そして手の動きだけでも大変なのに、歌まで加わったら!
しかし悲愴な顔をしている人は一人もいません。音楽健康指導士さんの「諦めないで!」という言葉に爆笑しつつ、「水は清き故郷」の歌が締めくくりになるのと同時に、両手を上に合わせてフィニッシュとなりました。