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池田陽子薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

【豚肉】「水」をしっかり補って体内を潤わせ、のぼせを改善

公開日: 更新日:

 このところ、やたらとのぼせる。足は冷えているのに顔は火照る……。風邪をひいたわけでもないのに、熱感がする状態が慢性的に続くとつらいもの。シニアは自律神経の老化によって、血管を拡げたり、縮める働きが低下しがちです。血管が拡張すると、体表の近くにある血管から熱を盛んに逃すようになるために、のぼせを感じやすくなるのです。

 また、慢性的なストレスや緊張が続く場合も自律神経のバランスが崩れて血管が拡張気味になり、のぼせやすくなります。とくに寒暖差が大きい春は自律神経が乱れがち。とりわけ、「のぼせやすい季節」なのです。

 ほかにも、甲状腺機能亢進症、高血圧更年期障害からのぼせが引き起こされる場合もあります。

 中医学において、のぼせは体内の「水」が足りていない「陰虚」と呼ばれる状態と考えます。水は血液以外のあらゆる体液を指し、陰陽でいう陰に属し、身体を潤わせて余分な熱を冷ます働きを持っています。そのため、水が不足すると身体に潤いがなくなって余計な熱が生じ、のぼせてしまうのです。手足が火照る、やたら喉が渇く、冷たい飲み物を飲みたがるといった特徴もあります。

 当然ながら水が足りないので、全身が乾燥しがち。肌が乾燥してカサカサになったり、喉が乾燥して咳が多い、目が乾燥してドライアイ……といった不調も起きやすいのです。また、温泉やサウナに入ったあとにやたらと疲れる傾向もあります。もともと水が足りていないため、のぼせて疲れてしまうのです。

 陰虚の状態が続くと、のぼせばかりか糖尿病を引き起こしやすくなります。水を補う食材を取り入れて改善を図りましょう。

 おすすめは豚肉。人間のエネルギー源である「気」、そして栄養分である「血」を補い滋養強壮に優れているうえ、「潤燥」という効能も大。水をしっかりと補って体内を潤わせる作用があり、肉の中では「保湿効果」が最も高いのです。肌の乾燥、シワ、咳、喉の渇きにも役立ちます。

 また、豚肉の中でももっとも水を補う効果があるのは「豚足」です。美肌、更年期トラブルが気になる女性にもおすすめです。

 豚肉ののぼせ改善効果を高めるには、ナガイモ、レンコン、豆腐、豆乳、牛乳、ヨーグルト、白ごま、松の実などと組み合わせるとよいでしょう。

 さらに、身体に熱を持たせる「温熱性の食材」は控えめにすることも大切です。ショウガ、ネギ、ニンニクを大量に使った料理や、スパイスのきいた刺激物、辛いものは控えめにしましょう。

 そして睡眠不足は水の不足の大きな原因になります。夜は「陰」を養う時間ですから、早めの就寝を心がけましょう。

■豚肉高齢薬膳レシピ

豚しゃぶナガイモサラダ

 水を補う豚肉と同様の効能があるナガイモを組み合わせたレシピ。タレにも白ごまとヨーグルト、トッピングには松の実とクコの実も使用し、しっかりと身体に潤いを与えます。白練りごまと、白すりごまをダブルで使い、味噌も加えたタレはコクがあり、おかずにもなるサラダです。

【材料】2人分
●豚肉(しゃぶしゃぶ用) 180g
●ナガイモ 10㎝
●松の実、クコの実 各大さじ1
●タレ(白練りごま・しょうゆ=各大さじ2、レモン汁・ヨーグルト・酢・白すりごま=各大さじ1、味噌=小さじ2、鶏がらスープの素=小さじ1/2、からし=少々)

【作り方】
 タレの材料をすべてボウルに入れて、水大さじ2を足してよく混ぜ合わせる。別で鍋に湯を沸かして豚肉を入れ、肉の色が変わったら取り出し、ざるに広げて粗熱を取る。ナガイモは皮をむき、包丁の背でひと口大にたたく。タレの入ったボウルに、豚肉、ナガイモを入れてあえ、器に盛り、乾炒りした松の実とクコの実を散らす。

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