長生きしたけりゃ最後は噛む力(3)「がんセンター」も始めた口腔ケア
口腔ケアは入院期間の短縮にも効果を発揮しています。最近、多くの病院で、入院や手術前に歯科治療や口腔ケアを行うところが増えているのもそのためです。
千葉大学医学部付属病院の調査(2004~13年)では、歯科衛生士による専門的口腔ケアや歯科医による歯周病などの治療を行うと、入院期間が短縮できたと報告されています。たとえば、消化器外科では13日、心臓血管外科では9.6日、悪性リンパ腫では65.4日も短くなっています。
早くからがん患者の口腔ケアに取り組んできた静岡がんセンターには口腔ケアチームがあり、がん患者に対する口腔ケアや歯科治療を積極的に行って成果を上げています。
「抗がん剤や放射線治療を行うと口内炎やドライマウス(口腔乾燥症)が起こりやすくなりますが、事前に歯周病やむし歯を治療して専門的口腔ケアを行うと、口の中のトラブルが起きにくくなります。最近は近くの病院から入院前の患者さんの口内のチェックや治療を依頼されることが多くなりました」
40年近く地域の歯科診療に携わってきた俵木勉・日本顎咬合学会監事はこう話します。