麻布台ヒルズが華々しくオープンしたのに…森ビルの財務は窮地の謎解き
森ビルの新たな複合施設「麻布台ヒルズ」が11月24日に開業した。大阪の「あべのハルカス」を超え、日本一の高さを誇る「森JPタワー(約330メートル)」や「六本木ヒルズ」以上の広大な緑化空間を擁する「麻布台ヒルズ」。
森ビルの辻慎吾社長(63)は、「本プロジェクトは、当社が理想とする『都市の中の都市(コンパクトシティー』であり、当社がこれまでのヒルズで培ったすべてを注ぎ込んだ『ヒルズの未来形』でもあります」とうたい上げた。
施設内には「慶応義塾大学予防医療センター」や都心最大規模のインターナショナルスクール「ブリティッシュ・スクール・イン東京」、世界初となるアマンの姉妹ブランドホテル「ジャヌ東京」、ベンチャーキャピタル約70社が集積する「Tokyo Venture Capital Hub」などが入居している。
だが、華々しい「麻布台ヒルズ」開業の一方で、懸念される事態が進行している。森ビルの財務内容の悪化だ。有利子負債は1兆6000億円を超え、フリーキャッシュフローはここ数期マイナスに陥っている。
森ビルは、1955年8月に森泰吉郎氏が「森不動産」の屋号で個人創業し、59年6月に資本金100万円で森ビルとして法人化したのが始まりだ。93年には森泰吉郎氏の次男で、中興の祖といわれる森稔氏が社長に就任。事業を大きく飛躍させた。
森ビルは東京都港区を中心にオフィスビルの賃貸・管理を手掛けてきたが、78年10月の「ラフォーレ原宿」開業を機に商業施設管理事業に進出。86年3月の「アークヒルズ」竣工以降は、オフィス、住宅、商業施設、文化施設など、複合用途の都市再開発事業を推進してきた。