ワコールの大株主に海外ファンドが浮上…赤字のピーチ・ジョン売却はあるのか?
危機を回避するため、23年2月には「フレックス定年制度」と称した希望退職制度の利用を募り、当初250人を想定していたが、応募者は155人で関連費用約7億円を計上した。こうした努力もあり、25年3月期は3期ぶりに黒字転換する見通しとなった矢先にアクティビストに食いつかれた格好だ。
高級女性用下着に強みを持つワコールは、「ワコール」「ウイング」「アンフィ」などのブランドを展開している。また「ピーチ・ジョン」「ウンナナクール」「ルシアン」など、年齢を含めたターゲット層ごとにブランドが存在しており、子供から大人まで幅広いラインアップを有している。
3Dはどういった企業価値向上策で圧力をかけてくるのか予断を許さない。「いくつかのブランドは手放さなければならないかもしれない。赤字となっている海外事業のピーチ・ジョン売却が俎上に載る可能性がある」(大手証券幹部)と指摘される。
ワコール創業者の塚本幸一氏は、太平洋戦争のインパール作戦を生き抜き、戦後、ワコールを女性用下着トップメーカーに育て上げた。死線を乗り越えた創業の精神が蘇るか。