安倍派幹部「裏金事件」立件見送りはシナリオ通り? 派閥ガタガタで岸田首相は目的達成か
自民党派閥の裏金事件で、東京地検特捜部が安倍派幹部の立件を断念する方向だと報じられている。さんざん幹部立件をにおわせてきたリーク報道は何だったのか。
派閥ぐるみで裏金づくりという“組織犯罪”の一網打尽に期待して、ネット上でも「#検察がんばれ」と盛り上がっていただけに、立件見送り方針に対する失望は大きい。X(旧ツイッター)では「#検察仕事しろ」「#検察は巨悪を眠らせるな」のハッシュタグ投稿がトレンド入りする事態になっている。
全国から応援検事を集めて100人態勢で捜査しておきながら、安倍派幹部をひとりも挙げられないようでは検察の名折れもいいところ。もっとも、この決着はシナリオ通りと見る向きもある。
「当初から、安倍派潰しの国策捜査という見方があった。最大派閥が壊滅状態になれば、岸田政権を支える麻生派、茂木派、岸田派の主流3派が主導権を握り続けることができます。任意聴取が始まっても安倍派の幹部連中は自分たちが逃げ切ることしか頭になく、不安がる若手中堅のケアをまったくしなかったそうで、派内には不満が渦巻いている。幹部の5人衆は求心力を失い、これまでのような集団指導体制を維持することも難しくなっています。安倍派がガタガタになったことで、当初の目的は果たされたということでしょう」(自民党の閣僚経験者)
すっかり裏金イメージがついた安倍派の議員は今後の選挙が厳しいし、自民党の政治刷新本部のメンバーに安倍派の裏金議員が入って猛批判されていることを考えれば、閣僚起用なんて論外だろう。大臣を出せない派閥はいずれ解体に向かう。
それに、幹部クラスが立件されれば、安倍派の問題では済まなくなり、岸田政権そのものが批判にさらされる。岸田首相サイドにとっても検察にとっても、ここらが落としどころということか。
「幹部がひとりでも立件された方がマシだったかもしれません。事件にひと区切りつきますから。このままでは、いつまた地検から呼び出しがあるかと怯えながら過ごすことになりそうです」(安倍派関係者)