FA市場の大物が売れ残る背景…“格下”より低い金額を拒否
開幕から1カ月が経過したが、オフのFA市場で売れ残った超大物ダラス・カイクル(前アストロズ)とクレイグ・キンブレル(前レッドソックス)の所属先が決まっていない。
カイクルは15年のサイ・ヤング賞投手。キンブレルは現役最多の333セーブをマークしている大クローザーである。年齢もまだ31歳と30歳でこれといった故障もない。それなのに失業状態に陥った第1の要因は、ビッグネームとはいえ、ピークは3、4年前までで商品価値が下落しているのに、格下の投手より低い額の契約になるのは嫌だという気持ちが強過ぎたことだ。
カイクルがこだわったのは、今回のFA市場に出た先発投手の中で最高額の契約をゲットすることだった。オフの早い時期にパトリック・コービンが6年1億3000万ドルでナショナルズと契約し、それ以上の額にこだわった。
キンブレルも格下であるチャップマンの5年8600万ドル(リリーフ投手の史上最高額)以上の金額で契約することにこだわったことが、そもそもの失敗だった。
浪人となった第2の要因はFA市場に大金をつぎ込んでも投資に見合った成果を得られないと考えるGMが多くなり、ストーブリーグ終盤になるとFA市場の売れ残りにソッポを向き、自軍の主力選手や成長著しい若手との割安な年俸による長期契約に注力するようになったからだ。そのためカイクルとキンブレルが、3月になって希望価格を大幅に値下げしても敏感に反応するGMはいなかった。