28年間のスカウト人生は岡田彰布の父親にワインとアジの開きを手土産にしたことから始まった
「僕は好きな選手しか取らなかった。好きだからいいなと思う。素直にストレートに行く。最後の会議で推すか推さないか、それしかないんです」
「選手は取ってみないとわからない。取らないと何も始まらない。スカウトである以上、会議で指名しても入団するのかしないのかを断言できないといけない。他のスカウトから指名を反対されても、きちんと魅力と獲得する根拠を主張しないといけない。プロで活躍してから、『いい選手だと思っていた』と言うのはズルいですから」
現在、長野・飯田ボーイズで中学生を指導する鈴木は、1979年から2006年までの28年間、西武ライオンズでスカウトを務め80年代に監督、管理部長として西武黄金時代の礎をつくった根本陸夫氏の下でスカウトのイロハを学んだ。
主に関西と北信越の一部を担当し、清原和博、和田一浩、中島宏之ら多くの主力選手の獲得に奔走。獲得には至らなかったものの、岡田彰布、松井秀喜ら逸材も追った。
昭和、平成を股にかけた名物スカウトが、担当選手とのエピソードを振り返りつつ、独自のスカウティング術を明かす。